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【ルポ】モスクワでしかできない夢のバレエ発表会 日本とロシアをつなぐ数少ないものを大切に
【ルポ】モスクワでしかできない夢のバレエ発表会 日本とロシアをつなぐ数少ないものを大切に
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... 2023年7月6日, Sputnik 日本
2023-07-06T19:48+0900
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これまで在ロシア日本大使館や劇場小ホールで開催してきたが、今回は「ロシア・バレエ」ヴャチェスラフ・ゴルデーエフ芸術監督のはからいで、バレエ団が拠点とするグベルンスキー劇場の大ホールで開催することができた。ウクライナ情勢を受けてモスクワに滞在する日本人の数は急減し、千野さんのスタジオに通うのはわずか9人。それでも、2部構成で、ゲスト出演を含め29演目から成る充実した舞台となった。観客席からは「とても小さな子もしっかり踊っていてびっくり」「楽しかった。バレエや音楽は、日本とロシアをつなげてくれる数少ないもの」といった声が聞かれた。千野さんが日本人の子どもたちに指導を始めて14年。駐在員の家庭がほとんどで、メンバーの入れ替わりが激しく、年齢や経験も異なる中で、作品を作り上げていくのは至難の業だ。それでいながら、この一年の間には、「文化の季節」コンクールを皮切りに、審査が厳しいことで有名な「DANCE MOSCOW」や、「クレムリンの星」といったロシアの著名なコンクールに挑戦し、上位入賞を果たしてきた。コンクール参加作品は、発表会でも披露された。レッスンでは、全員に目を行き届かせ、それぞれの子が、その子なりのレベルで上達していくことを評価している。本来であれば、脚を外側に開く、ポジションの練習など、基礎を積んでバレエの形にしなければいけないところだが、週2回しかないレッスンで全てをカバーすることはできない。それよりも作品として「揃える」ことを重視しながら、優しくも厳しい指導を行っている。バレエで生きていくことはもちろん難しい。千野さんは「子どもたちは、モスクワでバレエが大好きになって日本に帰っていきますが、受験や様々な事情で、ほとんどの子たちがバレエを続けることができていません」と残念そうに話す。ほんの趣味であっても一流の教師やダンサーから刺激をもらえるモスクワの環境は、それだけ特殊だと言えるだろう。千野さんは、バレエ団でも多忙を極めている。教師としてプロダンサーの技術向上や、上演される機会が少なくなった古典バレエの復活にも取り組む。19世紀後半、マリウス・プティパにより振り付けられた「騎兵隊の休息」は、千野さんのアレンジによって「ロシア・バレエ」の舞台でよみがえった。このような古典作品を再振り付けする試みをこれからも続けていく。そしてより大きなバレエ、全幕作品を作りたいという夢もある。発表会を終え、子どもたちのレッスンは再始動した。スタジオをオープンして以来、「じっと安心していることはなかった」と言う千野さん。今後もレッスンをレベルアップしながら、作品を作り続けていく。千野さんのあふれるバレエ愛が、全てをこなすバイタリティにつながっている。関連記事
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オピニオン, ロシア, 露日関係, バレエ, 文化, 芸術
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【ルポ】モスクワでしかできない夢のバレエ発表会 日本とロシアをつなぐ数少ないものを大切に
2023年7月6日, 19:48 (更新: 2023年7月6日, 20:22) 6月10日、モスクワ市内のグベルンスキー劇場で、モスクワ在住の日本人の子どもたちが参加するバレエ発表会が開催された。指導にあたったのは、モスクワ州アカデミー劇場「ロシア・バレエ」団で長年バレリーナとして活躍し、現在は同団の教師を務める千野真沙美さん。「ロシア・バレエ」所属のバレリーナ福田汐里さんや仙場花奈さん、モスクワ州クラスノゴルスクバレエ学校の生徒たちがゲスト出演し、温かい雰囲気の中、盛大な拍手が送られた。
これまで在ロシア日本大使館や劇場小ホールで開催してきたが、今回は「ロシア・バレエ」ヴャチェスラフ・ゴルデーエフ芸術監督のはからいで、バレエ団が拠点とするグベルンスキー劇場の大ホールで開催することができた。ウクライナ情勢を受けてモスクワに滞在する日本人の数は急減し、千野さんのスタジオに通うのはわずか9人。それでも、2部構成で、ゲスト出演を含め29演目から成る充実した舞台となった。観客席からは「とても小さな子もしっかり踊っていてびっくり」「楽しかった。バレエや音楽は、日本とロシアをつなげてくれる数少ないもの」といった声が聞かれた。
「プロのバレエアーティスト、ダンサーを目指すバレエ学校の生徒たち、そして趣味としてバレエをやっている日本の子どもたちが同じ舞台で共演するという、得難い経験だったのではと思います。バレエに真剣に取り組めば、将来どのようになれるのかを体感できるわけですから。今日の発表会だけでなく、日本の子どもたちは、ロシア・バレエのプロの舞台に、ゲスト出演してきました。最近では『眠れる森の美女』全幕の中で「一寸法師と人喰い鬼」を定期的に上演しています。観客の反応もよく、拍手はもちろん、声援も飛んでいます。プロ仕様の衣装を着て化粧をし、プロの踊りを見てさらに同じ舞台に上がるということは、子どもたちの発展につながりますし、バレエとは何なのか理解するとても良い方法です。真沙美さんの、我がバレエ団における長きにわたるキャリアのおかげで、このような良い関係が出来上がっているのです」
© 写真 : バレエスタジオ提供「ロシア・バレエ」所属のバレリーナ福田汐里さん
© 写真 : バレエスタジオ提供「ロシア・バレエ」所属のバレリーナ仙場花奈さん
© 写真 : バレエスタジオ提供クラスノゴルスクバレエ学校の生徒たち
© 写真 : バレエスタジオ提供クラスノゴルスクバレエ学校の生徒たち
千野さんが日本人の子どもたちに指導を始めて14年。駐在員の家庭がほとんどで、メンバーの入れ替わりが激しく、年齢や経験も異なる中で、作品を作り上げていくのは至難の業だ。それでいながら、この一年の間には、「文化の季節」コンクールを皮切りに、審査が厳しいことで有名な「DANCE MOSCOW」や、「クレムリンの星」といったロシアの
著名なコンクールに挑戦し、上位入賞を果たしてきた。コンクール参加作品は、発表会でも披露された。
「発表会を終えて、子どもたちも保護者の方も、達成感があったのではと思います。やっぱりみんな、舞台が好きですよね。舞台に出て、これは良い!と思うと、なかなかバレエをやめられないというのがあります。今回、発表会をしよう、という話になったのはかなり直前でしたが、コンクールを含めたこれまでの頻繁な舞台経験のおかげで、作品の数は揃っており、レパートリーを補強することで、開催に至ることができました。ヴァリエーション(ソロで踊る主役級の踊り)が中心の日本のコンクールと違って、ロシアのコンクールはアマチュア部門とプロ部門にわかれており、団体で出られるので、その点では気楽に参加できます。そこで良い結果を収めたことは子どもたちの自信になっています。今回、人数が少なくても、舞台は作れるということを再認識しました。日本ではなかなかこのようなスタイルのお教室は考えられないと思いますが、私は喜んでやっています」
レッスンでは、全員に目を行き届かせ、それぞれの子が、その子なりのレベルで上達していくことを評価している。本来であれば、脚を外側に開く、ポジションの練習など、基礎を積んでバレエの形にしなければいけないところだが、週2回しかないレッスンで全てをカバーすることはできない。それよりも作品として「揃える」ことを重視しながら、優しくも厳しい指導を行っている。
バレエで生きていくことはもちろん難しい。千野さんは「子どもたちは、モスクワでバレエが大好きになって日本に帰っていきますが、受験や様々な事情で、ほとんどの子たちがバレエを続けることができていません」と残念そうに話す。ほんの趣味であっても一流の教師やダンサーから刺激をもらえるモスクワの環境は、それだけ特殊だと言えるだろう。
千野さんは、バレエ団でも多忙を極めている。教師としてプロダンサーの技術向上や、上演される機会が少なくなった古典バレエの復活にも取り組む。19世紀後半、マリウス・プティパにより振り付けられた「騎兵隊の休息」は、千野さんのアレンジによって「ロシア・バレエ」の舞台でよみがえった。このような古典作品を再振り付けする試みをこれからも続けていく。そしてより大きなバレエ、全幕作品を作りたいという夢もある。
発表会を終え、子どもたちのレッスンは再始動した。スタジオをオープンして以来、「じっと安心していることはなかった」と言う千野さん。今後もレッスンをレベルアップしながら、作品を作り続けていく。千野さんのあふれるバレエ愛が、全てをこなすバイタリティにつながっている。