ゼレンスキー大統領は30日、ウクライナのNATO加盟を正式に申請すると宣言した。ウクライナ大統領府は、NATOがウクライナ側について戦闘を行うことはないものの、「関係発展のベクトル」を定め、西側諸国の兵器供給を加速させるために加盟申請が必要だと説明している。
この日、ドネツク、ルガンスク両人民共和国、ザポリージャ(ザポロジエ)、ヘルソン両州の4地域を新たな構成体としてロシア連邦へ編入する協定の調印式が行われており、ウクライナ側としてはロシアをけん制する狙いもありそうだ。
メドベージェフ氏はSNS「テレグラム」の自身のページで次のように皮肉交じりに記し、ウクライナが加盟すればロシアとNATOの直接対決に発展すると暗に警告した。
「ゼレンスキーはNATOに早急に入りたがっている。最高のアイデアじゃないか。ただただ、NATOに第三次世界大戦の幕開けを早めるようお願いしているのだ」
また、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官もロシア編入を決めた4地域を引き合いに出して、NATO加盟申請を宣言したウクライナについて次のように述べている。
「今日、それぞれが自らの道を選んだ。女性や子ども達を殺す血塗られた残忍な者たちは、NATOの掃きだめへの道を。我々は未来への道を。困難だと思いますか?その通り、なぜならいつだって堕落するのは、高みに達するより簡単なのですから」
一方、NATOのストルテンベルグ事務総長は性急な加盟には及び腰だ。30日に臨時で開かれたブリーフィングでは、NATOに加盟する全30カ国の全会一致が必要だとして、ウクライナを即時加盟させることはできないとの考えを示した。「いかなる国も自らの道を決定する権利があり、NATOへの扉は開いている」としたものの、「現在NATOはウクライナの支援に集中している」と指摘し、加盟の見込みついては明言を避けた。
スウェーデンとフィンランドが加盟申請した際とは異なり、ロシアと戦闘状態にあるウクライナを加盟させればNATOとロシアとの直接戦争に拡大しかねないため、慎重にならざるを得ないのだ。
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