沖縄の米軍基地問題

【視点】沖縄 日本全土を代表する外交上の「絶望の一歩」

沖縄県の玉城デニー知事は、日本政府が承認した辺野古新基地の建設に反対であるという沖縄の立場を直接訴えるため(もっとも、すでに県内には31の基地が存在している)、米国を訪問し、米政府関係者や連邦議会議員などと面談した。この沖縄の訴えが米国に聞き入れられることはあるのか、あるいは今度もまた沖縄の声は無視されるのか、「スプートニク」がまとめた。
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2月初旬、玉城デニー知事は、米国製のものを含めたあらゆる長距離ミサイルの日本国内での配備について、正式にこれを非難する声明を表した。玉城知事は、これを日本の憲法に違反したものだと述べた上で、こうした行動は予想もせぬ状況を招くことになりかねないとして深い憂慮の念を表した。
そこで、今回の玉城知事の訪米は、沖縄県知事があらゆる手段を用いて、県民の幸せのために自身の全権を行使しようとする「絶望の一歩」であると言える。

他人の戦争を前にした絶望の一歩

訪米出発を前に、知事は「沖縄は何も意見を持っていないのかと誤った認識を伝えられかねない」として、自ら情報発信する意義を強調した。知事は心から沖縄の未来について不安を感じており、正直な人間として、もはや黙っていることはできないのである。
アンドレイ・フェシュン氏は、沖縄県民は、地域における軍事的緊張の高まりによって今後起こりうる戦闘の最中に置かれるリスクを負っているとして、次のように述べている。
「というのも、沖縄の人々は何も悪いことをしていないのに、中国からの核攻撃を受ける可能性があるのです。そしてそれは、米国が突然、何らかの行為に対して、中国を罰せねばならないと決めることによるのです。日本の防衛能力を強化するという米国の計画は、まさにこうした米国の野望でしか説明することはできません。とはいえ、攻撃ミサイル『トマホーク』は防衛兵器とは言い難いものです。日本の『トマホーク』調達は、米国の戦略上の一歩です。なぜなら、そのおかげで、日本に新たな状況を作ることができる、つまり日本が反撃能力を持つことができるからです。それはもし北朝鮮または中国から、日本に向けてミサイルが発射された場合、日本はミサイルが発射された敵の基地を先に攻撃する反撃を行うことができるのです。しかし、日本人にとってこれは、事実上、防衛ではなく、他人の戦争への準備をしていることになります」
米国が行おうとしている中国との戦争は、これまでもそうであったように、他人の領土で行われる。そして今回の場合はその戦場は日本となる。そしてこれは実際、米軍の高官らもすでに公言しているかなり現実的な展望である。
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米中の直接の軍事衝突という恐ろしい展望

米軍のマイク・ミニハン大将自身、2025年までに台湾を原因とした米中戦争が始まるだろうとの予測を示している。
フェシュン氏は、米空軍司令官も、2025年、あるいはそのもう少し後、中国が台湾を武力によって制圧しようとする2027年から2030年代に米中の直接の軍事衝突が起こる可能性を排除していないと付け加え、次のように述べている。
「そこで、米国は中国に近い地域や海域での部隊を強化しています。加えて、米国はフィリピン北部にも小さな海軍基地を持っており、そこでも、ミサイル発射装置を増加し、部隊の規模を拡大しています」
このような状況は、米国が中国との軍事衝突に向け、綿密な準備を進めていることを証明するものであり、沖縄の軍事基地もそこで決定的な役割を果たすことになる。
だから、長年にわたる沖縄県民の抗議の声は、単に無視されているのである。そしてその間にも、沖縄の米軍基地は、島民の希望とは逆に、増強し続けている。

軍拡競争にかき消される沖縄県民の声

アンドレイ・フェシュン氏は、従って、今回も同じようなシナリオの展開が予想されると指摘している。
「沖縄県知事の訪米が何の結果ももたらさないであろうことは、明白です。それは、2月半ばに、日本が日本南西沿岸部に巡航ミサイル『トマホーク』を配備するという新たな防衛戦略を採択したことだけを見ても明らかです。つまり、日本海沿岸沿い、そして多くの苦しみを負ってきた沖縄にです。このほか、小規模なミサイル発射装置が無人島に配備されることになっています。おそらくこれは、領土問題となっている尖閣諸島だと思われます。
日本側の声明によれば、その領海には中国船がしょっちゅう侵犯しており、領空には中国の軍用機が飛来しています。従って、この地域には巡航ミサイルが必要だとされているわけです。もしも中国が日本に攻め込もうとするようなことがあった場合に備えてです。とはいえ、誰も日本に攻撃しようとはしていません。そして何らかの攻撃が行われるとしても、狙われるのは米軍基地だけでしょう」
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しかし、だからといって、沖縄の懸念が弱まるわけではない。なぜなら、この軍事的冒険のためのあらゆる苦難は他でもない島民にかかってくるからだ。

未来のために選ばれた道?

こうした状況を背景に、玉城知事の米国訪問は、単なるすべての沖縄県民の絶望的な心の叫びを代弁するだけのものではなく、沖縄県知事にはよくある米国に対する「儀式的行為」でもある。
訪米は失敗に終わる運命にある一方で、次の県知事選挙で、玉城氏再選を助けるものになるからだ。アンドレイ・フェシュン氏は、つまり、米軍基地のない生活を求める沖縄の闘いはこれからも続くことを意味するのだと指摘している。
「沖縄県知事が再選を目指している可能性はあります。そして、有権者に対し、平穏で安全な生活を手にする権利のために必死に闘っている姿を見せたいと思っているでしょう。もちろん、知事自身、近い将来、何も変わらないことは分かっているとは思います。というのも、日本政府は、米国の軍事的利益を侵害するような行動をするつもりはまったくないからです」
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アンドレイ・フェシュン氏は、知事の訪米、そしてその訪米に展望がないことは、日本が外交政策においていかに自立していないかということを示していると指摘する。
「知事は米国で、優しく肩を叩かれて、何も恐ろしいことは起きないと説得されて終わるでしょう。これが、沖縄県の人々の懸念に対して、米国から耳にすることができる最大の回答です。しかし、実際には、彼らの懸念に対する理由はかなり現実的なものなのです」

危険がおよぶのは沖縄だけではない

フェシュン氏は、というのも、弾薬庫の配備は、少しずつ兵器が増えつつある日本の他の地域でも行われる可能性があるからだと指摘する。
「今のところ、他県の住民たちは、それは沖縄の人たちだけの運命だとして、沖縄県民に同情しています。しかし、米軍基地は本州にもかなりたくさんあります。しかも、九州、佐世保には大規模な海軍基地が置かれています。また首都の近くにも、海軍基地があり、そこには極東の第6艦隊の旗艦である空母『ジョージ・ワシントン』が配備されています」
しかしながら、親米的な外交政策は、実際、日本により大きなリスクを与えている。これは単なる代理戦争の脅威ではなく、核戦争の脅威だとフェシュン氏は警告する。
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よく知られているように、日本には、核を持たず、作らず、持ち込ませずという非核三原則がある。

原則のない原則:法では禁止され、実際には認められている

では、「持たず」の原則は実際にはどうなっているのか?
アンドレイ・フェシュン氏はこれについて次のように述べている。
「日本領内には、事実、核兵器はありません。しかし、実際、日本国内にある米軍基地に置かれている可能性はあります。つまり、法的には何も問題がないということになります。なぜなら、米軍基地は治外法権にあたるからです。つまり、公式的には、日本の国内には実際、核兵器はないのです。しかし、実質、日本領内の米軍基地に核兵器があるという事実は、「公然の秘密」です。そしてその大部分は沖縄にあるのです」
そして、もちろん、それは東京の近くにある基地に配備されている空母「ジョージ・ワシントン」にもある。フェシュン氏は、そして「ジョージ・ワシントン」が日本の首都付近を航行するときに、すべての核弾頭を外すなどということは考えられないと述べている。
つまり、沖縄県知事の訪米は、沖縄だけでなく、その安全がますます不安定さを増す日本全土の運命にとっての「絶望的な一歩」なのである。
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