「中国には台湾を侵攻する必要がないのです。中国は血を流すことなく、香港とマカオを取り戻しました。台湾についても同じ手法を望んでいます。しかも台湾は、中国本土にとって、黄金の卵をもたらす鶏です。台湾には数えきれないほどのビジネスプロジェクトがあり、貿易関係があり、高品質の半導体の製造が行われています。中国がそのようなインフラを破壊する意味がどこにあるのでしょうか。
主に台湾有事に対する挑発を行っているのは、中国との競争を喉に刺さった骨のように感じている米国です。そして米国はそこに豪州、韓国、日本、さらにはインドを引き込んでいます。しかも、日本は米国に大きく依存しています。というのも、国内に米国の軍事基地があり、紛争が起これば、間違いなく、それが使用されるからです。しかし日本は中国の核兵器に脅威を感じており、言葉では米国を支持しつつ、中国との対立を避けようとしています。日本が紛争に巻き込まれるリスクはありますが、軍事紛争に参加するすべての国にとって、その犠牲は計り知れないほど大きいものです」
「米国は軍事紛争を防ぐべく努力しています。というのも、ウクライナ支援で多大な費用が嵩んでいるからです。米国は、2つの戦線で戦うほどの力を持っていません。中国は、米国が今、戦争を望んでいない立場を利用し、台湾が早晩、中国の一部になるとの世論を形成しようとしています。とはいえ、絶対に紛争は起こらないと断言することはできません。
そして、もしそうなった場合、米国は何より、日本にある軍事基地を必要とするでしょう。とりわけ、在日米軍基地は治外法権区域であり、日本の法の管轄下にありません。沖縄だけでも、3〜5万人の米軍海兵隊員がおり、それが戦闘区域に配置されることになります。そして日本は輸送における支援を行い、船や軍用輸送機を提供することになります。しかしこれらは中国のミサイルの標的となる可能性があります。日本人がこれを望んでいるのかどうかということについては誰も訊いてくれません。紛争が起こってしまえば、議論の余地などないのです。もちろん、日本は中国との軍事衝突は避けたいところでしょう。しかし、両国の間には中国の艦船が日本領海に侵犯したりせず、中国からの脅威が増強されなかったとしても、今後何年も続くであろう領土問題が存在するのです」