【特集】日本バレエは3人のロシア人バレリーナが源流 現代ロシアバレエダンサーがその伝統を継承

バレエほど、ロシアと日本を長きにわたって固く結びつけているものはない。 1912年に来日したイタリア人演出家のジョヴァンニ・ヴィットーリオ・ローシー(Jiovanni Vittorio Rossi)は、帝国劇場でオペラとバレエを日本人に紹介したが、バレエを日本人に「親しませる」という試みはあまり成功しなかった。ところが、10年後の1922年、ロシアの有名なバレリーナ、アンナ・パブロワの来日公演ですべてが変わった。 彼女の才能は日本の観客を魅了した。そして、多くの若者が自分もバレエを習いたいと思いはじめた。
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しかし当時、日本にはクラシック・バレエを専門的に教えることができる人はいなかった。それが、もう1人のパブロワ、エリアナの出現で事態が大きく変わった。 プロのバレリーナだった彼女は母親と妹とともに1920年にハルピンから日本に移住してきた。1925年、エリアナ・パブロワは日本初のバレエ団を組織し、2年後には鎌倉にバレエ学校を開校。これが日本のバレエを発展へ導く端緒を開いたのだ。
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アンナ・パブロワ
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エリアナ・パブロワ

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オリガ・パブロワ
1936年、2人目のロシア人バレリーナが来日する。マリインスキー劇場で踊っていたオリガ・サファイアことオリガ・パブロワである。 1933年、彼女は在ソ連日本大使館に勤務していた外交官、清水威久と結婚した。日本では「日劇」(日本劇場)に教師・振付師として入団し、日本国立バレエ団の創設に貢献した。これが功を奏し、1957年のボリショイ・バレエの初の日本公演では、日本の観客の心はすでにバレエが感受できるまでに開かれていた。ボリショイ・バレエで日本人初のソリストを務めた岩田守弘さんは、日本でバレエが普及したのは「3人のパブロワ」のおかげだという。現在、岩田さんはその経験と知識をもとに、ロシア・バレエ学校とボリショイ・バレエのメソッドをベースにした、バレエダンサーのためのトレーニング・システムを日本で構築している。
1960年代以降、日本にもバレエ学校やバレエスタジオが開設され、ロシア出身のバレエ教師やバレエマスターが指導にあたった。 この伝統は今日まで続いている。スプートニクは、東京・世田谷区にあるチャイカ・バレエスタジオの創設者、ディレクター、教師である村田レナさんをご紹介したい。
村田レナさん
スプートニク:「チャイカ・バレエ・スタジオがどのようにして出来たのか、その歩みを教えてください。
スプートニク:「チャイカ」には小さな子どもからティーンエイジャーまで練習に参加しています。たくさんの人が参加を希望されていますか? 日本人の子どもだけですか、それともハーフの子もいますか?男の子は女の子より少ないのでしょうね?
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スプートニク:バレエを見ていると、ダンサーは舞台を軽々と飛び回っているように見えますけれど、かなりきつい仕事ですね。 あなたのクラスはどうですか?
スプートニク:子どもたちにはよく舞台に立つチャンスはありますか? また、バレエの演目は誰が考え、衣装はどのように準備してますか?
スプートニク:バレエを習っている子どもたちの親御さんたちとのおつきあいはうまくいっていますか?
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スプートニク:日本に住んで何年になりますか、日本語はマスターしましたか、日本のどこが好きですか?
もちろん、バレエ学校の生徒全員がプロのダンサーになれるわけではない。 しかしバレエを習うことで忍耐力と決断力が養われ、上品さと優雅さが育まれ、美を理解できるようになる。子どもはクラシック音楽の名曲に触れて聴力や演技力を養う。それはダンスという言語を通じてさまざまな感情を伝える必要があるからだ。そして、成長してもバレエをあきらめない子どもたちは、森下洋子さん岩田守弘さんのように、将来、日本のバレエの名を世界にとどろかせる存在になるかもしれない。

村田レナ

5歳からクラシックバレエを始める。2005年、キエフ国立芸術文化大学を首席で卒業(講師ライセンスを取得)。国立舞踊「Kaleidoscop」メンバーとして海外公演 (ベルギー、フランス、ドイツ等)参加。バレエシアター「Fatа Morgana」メンバーとして日本公演に参加。安室奈美恵、エアロスミス、バックダンサー、そのほか企業CMやミュージックビデオ等の振り付けを担当。
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