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【解説】「ノルドストリーム爆破に米関与」への各国反応 日本メディアが伝えない米国に不利な報道
【解説】「ノルドストリーム爆破に米関与」への各国反応 日本メディアが伝えない米国に不利な報道
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... 2023年2月15日, Sputnik 日本
2023-02-15T22:22+0900
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ハーシュ氏のスクープ記事ハーシュが8日に発表した記事の概要は、2022年6月に実施された軍事演習「バルトップス演習」を隠れ蓑にし、米海軍のダイバーが「ノルドストリーム1」と「ノルドストリーム2」の下に爆発物を設置し、それを3か月後にノルウェーが作動させたとするもの。ハーシュ氏は1969年、独自の調査によりベトナム戦争中の米軍中尉によるソンミ村虐殺事件を暴いたことが評価され、1970年にピューリッツァー賞を受賞している。報道の後、スプートニクが航空機の位置を追跡するサービス「Flightradar24」のデータを調査したところ、爆発から1時間後に米国の哨戒機「P-8A・ポセイドン」が爆発地点の周辺を通過していたことが明らかになった。また、発生3ヶ月前の6月に北大西洋条約機構(NATO)の海軍機が現場周辺の海域を定期的に旋回していたことも分かっており、ハーシュ氏の主張にも合致している。ロシア外務省はこれまでにハーシュ氏の記事について、「ロシアにとってセンセーショナルなものでも、予想外のものではない。ロシア政府は米国の関与を想定していた」とコメントを発表。一方で米政権は、ハーシュ氏の記事は「真っ赤な嘘であり、完全な捏造」であるとし、すべての疑惑を否定している。冷ややかな西側メディアの反応ハーシュ氏の故郷である米国では、冷ややかな反応をみせている。有力紙「ワシントン・ポスト」やハーシュ氏の古巣でもある「ニューヨーク・タイムズ」は、記事が出てからの一週間でハーシュ氏の報道を取り上げていない。また、「ニューヨーク・ポスト」は記事を引用する形で短く伝えてはいるが、続報は出していないようだ。独日刊紙「南ドイツ新聞」はハーシュ氏の過去の功績を認めながらも、今回の記事については懐疑的に伝えている。また、英紙「タイムズ」はハーシュ氏の記事を引用して伝え、米国政府が否定したことを伝えている。だが、ほかの英有力紙「ガーディアン」や「フィナンシャル・タイムズ」は取り上げていない。米国に不利な報道を取り上げない日本メディア冷ややかな反応を見せたのは日本メディアも例外ではない。ハーシュ氏の報道へのロシア政府の反応を扱った記事を共同通信が配信し、それを掲載している例はみられるものの、少なくともインターネット上で確認できる範囲では、詳細を示したり大きく取り上げている記事は主要紙では見当たらない。もちろん、ノルドストリームはロシア、ドイツ、欧州諸国がメインの舞台となる話題であって、直接的な関連がない日本の読者の関心は比較的低いという指摘はできる。だが、米国の国内情勢をつぶさに解説したり、ロシアへの否定的な報道を常に喧伝している日本の主要メディアが今回の「ノルドストリーム」の報道を取り上げても違和感はないだろう。一方、日本メディア「現代ビジネス」は「『ノルドストリーム爆破』は米国の仕業だった…!? 新説急浮上でバイデン政権に噴出するいくつもの疑惑」との見出しで経済評論家の朝香豊氏の分析を詳しく伝えている。そこにはハーシュ氏の経歴から、「ノルドストリーム」のスクープ記事の概要から、ロシア、ウクライナ、米国の情勢までを様々な視点から解説している。さらに、ジャーナリストで拓殖大学教授の富坂聰(さとし)氏は、自身の配信するメールマガジン「富坂聰の『目からうろこの中国解説』」で、「『ノルドストリーム破壊に米関与』報道を無視して気球で騒ぐ日本メディアの害悪ぶり」との題で日本メディアの反応を否定的に伝えている。富坂氏はハーシュ氏の記事が出た間、日本メディアは米国で撃墜された中国の偵察気球に関連する話題でもちきりだったと指摘し、次のように述べている。富坂氏はハーシュ氏が「ニューヨーク・タイムズ」の「伝説の記者」と呼び、「無視して良い話ではない」と日本メディアの報道姿勢を批判した。前出の現代ビジネスの記事の読者は、一部陰謀論だと一蹴するような意見もあったが、概ね冷静な反応をみせている。コメント欄には「米国がやることに何ら違和感はない」「事実か否かの断定には時間がかかるだろうけど、過去の米国の裏工作の数々を顧みれば十分考え得ることだ」との読者の声がみられた。さらに「決定的なエピデンスが欠け、肯定も否定も出来ないなら、仮説として扱うのが普通ではないでしょうか?判断時点で正しいと判断できるもの以外全て陰謀論つまりデマや誤情報として扱うことに違和感を感じる」と、こうした類の報道を初めからフェイクニュースだと決めつける人々をたしなめる読者もいた。ハーシュ氏の身の安全、懸念する声も同じ西側諸国でもスペインでは異なった反応をみせている。経済紙「エル・コンフィデンシアル」はハーシュ氏の報道を「爆弾」と呼び、「今年一のスクープ」になりうると評価。日刊紙「エル・パイス」もハーシュ氏が過去に多くの注目を集めたスキャンダルを暴いた記事を発表していることに着目して伝えている。また、インド紙「インディアン・エクスプレス」「エコノミック・タイムズ」「インディア・トゥデイ」などは、ハーシュ氏の記事が公開されるとすぐにそれを引用して一斉に伝えた。ホワイトハウスが否定していることも加えている。「インディアン・エクスプレス」はハーシュ氏の経歴を詳しく紹介し、ベトナム戦争のスクープでピューリッツァー賞を取ったことも伝えている。また、中国の「環球時報」は英語版で、ハーシュ氏の「ノルドストリーム」テロ事件の記事は信用に足るとする中国の専門家の視点を伝えている。また、ハーシュ氏がベトナムだけでなく、イラク戦争中の「アブグレイブ刑務所における捕虜虐待」についてもスクープし米軍の戦争犯罪を暴いたことも指摘している。一方、ハーシュ氏の身の安全を懸念するアナリストの話も掲載されている。関連ニュース
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【解説】「ノルドストリーム爆破に米関与」への各国反応 日本メディアが伝えない米国に不利な報道
2023年2月15日, 22:22 (更新: 2023年5月17日, 21:43) 2022年9月に起こったロシアからドイツ・欧州に天然ガスを送る海底パイプライン「ノルドストリーム」の爆破テロに関連し、ピューリッツァー賞受賞者でもある米ジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏がこのごろ、「米国が関与していた」とする記事を発表した。この衝撃的なニュースに世界各国のメディアは様々な反応をみせている。日本や米国、英国では無視する傾向が強いのに対し、同じ西側陣営でもスペインでは大きく取り上げている。また、中国ではハーシュ氏の身の安全を懸念する報道もあるなど、国によって多種多様だ。
ハーシュが8日に発表した
記事の概要は、2022年6月に実施された軍事演習「バルトップス演習」を隠れ蓑にし、米海軍のダイバーが「ノルドストリーム1」と「ノルドストリーム2」の下に爆発物を設置し、それを3か月後にノルウェーが作動させたとするもの。ハーシュ氏は1969年、独自の調査によりベトナム戦争中の米軍中尉によるソンミ村虐殺事件を暴いたことが評価され、1970年にピューリッツァー賞を受賞している。
報道の後、スプートニクが航空機の位置を追跡するサービス「Flightradar24」のデータを調査したところ、爆発から1時間後に米国の哨戒機「P-8A・ポセイドン」が
爆発地点の周辺を通過していたことが明らかになった。また、発生3ヶ月前の6月に北大西洋条約機構(NATO)の海軍機が現場周辺の海域を
定期的に旋回していたことも分かっており、ハーシュ氏の主張にも合致している。
ロシア外務省はこれまでにハーシュ氏の記事について、「ロシアにとってセンセーショナルなものでも、予想外のものではない。ロシア政府は米国の関与を想定していた」とコメントを発表。一方で米政権は、ハーシュ氏の記事は「真っ赤な嘘であり、完全な捏造」であるとし、すべての疑惑を否定している。
ハーシュ氏の故郷である米国では、冷ややかな反応をみせている。有力紙「ワシントン・ポスト」やハーシュ氏の古巣でもある「ニューヨーク・タイムズ」は、記事が出てからの一週間でハーシュ氏の報道を取り上げていない。また、「ニューヨーク・ポスト」は記事を引用する形で短く伝えてはいるが、続報は出していないようだ。
独日刊紙「南ドイツ新聞」はハーシュ氏の過去の功績を認めながらも、今回の記事については懐疑的に伝えている。また、英紙「タイムズ」はハーシュ氏の記事を引用して伝え、米国政府が否定したことを伝えている。だが、ほかの英有力紙「ガーディアン」や「フィナンシャル・タイムズ」は取り上げていない。
冷ややかな反応を見せたのは日本メディアも例外ではない。ハーシュ氏の報道へのロシア政府の反応を扱った記事を共同通信が配信し、それを
掲載している例はみられるものの、少なくともインターネット上で確認できる範囲では、詳細を示したり大きく取り上げている記事は主要紙では見当たらない。
もちろん、ノルドストリームはロシア、ドイツ、欧州諸国がメインの舞台となる話題であって、直接的な関連がない日本の読者の関心は比較的低いという指摘はできる。だが、米国の国内情勢をつぶさに解説したり、ロシアへの否定的な報道を常に喧伝している日本の主要メディアが今回の「ノルドストリーム」の報道を取り上げても違和感はないだろう。
一方、日本メディア「現代ビジネス」は「『ノルドストリーム爆破』は米国の仕業だった…!? 新説急浮上でバイデン政権に噴出するいくつもの疑惑」との見出しで経済評論家の
朝香豊氏の分析を詳しく伝えている。そこにはハーシュ氏の経歴から、「ノルドストリーム」のスクープ記事の概要から、ロシア、ウクライナ、米国の情勢までを様々な視点から解説している。
さらに、ジャーナリストで拓殖大学教授の
富坂聰(さとし)氏は、自身の配信するメールマガジン「富坂聰の『目からうろこの中国解説』」で、「『ノルドストリーム破壊に米関与』報道を無視して気球で騒ぐ日本メディアの害悪ぶり」との題で日本メディアの反応を否定的に伝えている。
富坂氏はハーシュ氏の記事が出た間、日本メディアは米国で撃墜された中国の偵察気球に関連する話題でもちきりだったと指摘し、次のように述べている。
「国際ニュースの衝撃度という意味では、間違いなく『ノルドストリーム海底パイプラインを破壊したのはアメリカ』の方が勝っているはずだ。しかし日本は、例によってアメリカに不利なニュースだからか、ほぼ完全にスルーしてしまったようだ」
富坂氏はハーシュ氏が「ニューヨーク・タイムズ」の「伝説の記者」と呼び、「無視して良い話ではない」と日本メディアの報道姿勢を批判した。
前出の現代ビジネスの記事の読者は、一部陰謀論だと一蹴するような意見もあったが、概ね冷静な反応をみせている。
コメント欄には「米国がやることに何ら違和感はない」「事実か否かの断定には時間がかかるだろうけど、過去の米国の裏工作の数々を顧みれば十分考え得ることだ」との読者の声がみられた。さらに「決定的なエピデンスが欠け、肯定も否定も出来ないなら、仮説として扱うのが普通ではないでしょうか?判断時点で正しいと判断できるもの以外全て陰謀論つまりデマや誤情報として扱うことに違和感を感じる」と、こうした類の報道を初めからフェイクニュースだと決めつける人々をたしなめる読者もいた。
同じ西側諸国でもスペインでは異なった反応をみせている。経済紙「エル・コンフィデンシアル」はハーシュ氏の報道を「爆弾」と呼び、「今年一のスクープ」になりうると評価。日刊紙「エル・パイス」もハーシュ氏が過去に多くの注目を集めたスキャンダルを暴いた記事を発表していることに着目して伝えている。
また、インド紙「インディアン・エクスプレス」「エコノミック・タイムズ」「インディア・トゥデイ」などは、ハーシュ氏の記事が公開されるとすぐにそれを引用して一斉に伝えた。ホワイトハウスが否定していることも加えている。「インディアン・エクスプレス」はハーシュ氏の経歴を詳しく紹介し、ベトナム戦争のスクープでピューリッツァー賞を取ったことも伝えている。
また、中国の「環球時報」は英語版で、ハーシュ氏の「ノルドストリーム」テロ事件の記事は信用に足るとする中国の専門家の視点を伝えている。また、ハーシュ氏がベトナムだけでなく、イラク戦争中の「アブグレイブ刑務所における捕虜虐待」についてもスクープし米軍の戦争犯罪を暴いたことも指摘している。一方、ハーシュ氏の身の安全を懸念するアナリストの話も掲載されている。