G7広島サミット - Sputnik 日本, 1920, 16.05.2023
G7広島サミット
2023年、G7の議長国は日本に引き継がれた。G7サミットは19日から21日にかけて、1945年8月6日に米国が原爆を投下した広島県で開催される。主要7か国に加え、オーストラリア、ブラジル、ベトナム、インド、韓国、インドネシア、クック諸島、コモロ諸島が招待された。

【特集】「日露の友好は日本が自立する道」 日露善隣協会田中健之会長

© 写真 : Dmitry Gavrilov田中健之さん
田中健之さん - Sputnik 日本, 1920, 29.05.2023
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G7広島サミットの開催中、欧米は新たな対露制裁パッケージを採択した。G7への連帯を示そうとする日本は対露政策においても無関心を装ってはいない。だが、こうした日本政府の姿勢に日本国民はそろって同意しているのだろうか? スプートニクは、G7の決定に抗議し、ロシアとの友好関係の重要性を訴えるために広島入りされた、日露善隣協会会長の田中健之氏にお話を伺った。
スプートニク: 今回、どうして広島にこられたのでしょうか。
田中健之氏: G7サミットでテーマの一つにウクライナ問題が挙げられていますね。日本人は未だにロシアがウクライナに対して突然、特別軍事作戦を開始したと思い込んでいます。実際は2014年から、ウクライナは自国民、特にドンバスに対して攻撃をし、民間人を虐殺してきたのに、その8年間というものはG7で一切取り上げられていません。むしろ米国もG7も平和をと言いながら資金、武器を出すのは戦争激化のためです。日本も平和憲法がありながら、停戦の努力もせず、米国の言うことばかり聞いて、むしろ戦争に加担しています。広島に来たのはそれに対する抗議が1つと、もう一つの理由はドンバスです。ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国の国旗を揚げて、ドンバスを忘れるなということを私は訴えました。今回の特別軍事作戦の原因はドンバスの問題です。これを無視しては、今回のロシアの行動は誰にも理解できません。
スプートニク: 今のG7サミットの議長をもし安倍氏が務めていたら、ロシアに対する立場は方針が変わったでしょうか。
田中健之氏: 日本は敗戦以来、ずっと米国に支配されていますから、安倍さんがどれだけ米国に抵抗できたかはわかりません。
岸田さんを褒めたいことが一つだけあります。それはバイデンさんを広島に呼び、原爆犠牲者に頭を下げ、記念館で原爆の酷さを見せたことです。バイデンさんが何を思ったかはわかりませんが、米国が日本人を虐殺した事実を岸田さんが示したことだけは褒めたい。
8年前のドンバスの問題では、安倍さんはある程度は抵抗しました。だから西側諸国が制裁対象にしたナルイシキン上院議長も、プーチン大統領も日本に来れた。安倍さんであれば、ロシアを無視せず、プーチン大統領と話をすることもできたのかなとは思いますね。ただ、米国の圧力にどれだけ抵抗できたかはわかりません。
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G7広島サミット
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スプートニク: 日本が米国の期待どおりの政治をしているというわけですね。
田中健之氏: そう。敗戦後に設置された日米合同委員会とは要するに、政策を閣議決定の前に日米で協議して結論を出す仕組みです。決定に日本は従わなければならない。はっきり言って、戦後の日本は米国の植民地ですから、日露関係も頑張っても本当の意味でよくならないのは、領土問題も含めて米国の影響です。
スプートニク: 日本は将来、独立した政治方針をたてることができるでしょうか? その達成のためにはどうすればいいですか。
田中健之氏: 日本人が希望を失わずに米国に対し、はっきりノーと言えることでしょう。日本は今、NATOにも取り込まれつつありますが、日本には米国が押しつけた憲法の中で9条がある。これを利用しながら、米国の戦略に組み込まれないように抵抗していかなければいけない。国民自身の意識がしっかりすれば、米国から自由になることは可能です。あとは民間外交です。例えば今、露日の政府関係はよくないけれど、私は民間人としてロシアと交流をしています。人間どうしが仲良くなる民間外交は大事ですし、これで日本政府に対してある程度独自の路線を作っています。
スプートニク: 日本はウクライナへの資金提供、軍事支援を行いながら、国内問題を無視しています。これをどう思いますか。
田中健之氏: 日本がウクライナに対して今年援助する8000億円は私たちの税金です。福島の復興を後回しにし、ウクライナに対してそこまで血税を出していいのか? 難民はアフガニスタンにもシリアにもいるのにウクライナ人だけ特別扱いするのはおかしい。ウクライナ人は日本に難民として来ていますが、ウクライナの持ち家を貸して出稼ぎに来るなど、実は偽造難民が多い。ところが、同じウクライナ国籍だったドンバスの人たちは8年間難民状態にあったのに、誰も難民として受け入れなかったではないですか。ドンバスの人を無視しいた日本政府がウクライナ難民には急にお金を出して、助けるというのは偽善です。
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スプートニク: 中国とロシアに対するヒステリーが広がっていますが、これを回避する、あるいはなくす方法はあるでしょうか。
田中健之氏: まずは民間外交です。結局、ロシアのこと、中国のことを知らない日本人は、作られた世論によって踊らされているんです。中国を悪く思う日本人に中国人の友達がいますか? 一緒に食事をしたこともない、中国語も話せないのにどうして中国を知っていると思えるのですか? ロシアに対してもまったく同じです。まず、相手を知らなければいけない。情報が少ないから、相手がわからない。相手をしっかり知れば、日本人のヒステリーはなくなっていきます。
スプートニク: ロシアに対立の立場に偏る日本人の方々にどういうメッセージを送りたいですか。
田中健之氏: 日本人はソビエトの延長としてしかロシアを見ていない。これが大きな誤解です。新生ロシアは社会の体制も全然違う。ウクライナとロシアも元は同じで、別々で見ていることもおかしい。『ソビエトの延長』という宣伝に日本国民は乗せられていますが、宣伝しているのは植民地支配をし、日露友好を一番嫌がる占領者の米国です。ロシアは日本には一番近い、隣国です。ロシアには日本人が好きな人はたくさんいます。そういう人たちと仲良くすれば、両方の国の国益になります。お互いの国家のためになるということは、日本が自立する道にもなる。これを私は日本人に伝えたい。
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スプートニク: 田中さんからはロシアへの温かい気持ちが感じられます。日露善隣協会の会長でいらっしゃいますが、どうして協会の設立にいたったのでしょうか。 背景に何か個人的なストーリーがありますか。
田中健之氏: 私の先祖は黒龍会を組織しており、ロシアへ非常に深い関心を抱いて、明治時代、単身シベリア横断してロシアに行きました。その時に、ロシア人は日本人と本当に気持ちが合うことを知ったのです。『スラブよ!汝の友は東方より来たれり』という言葉を残しています。明治時代、黒龍会はロシア語学校も運営していました。そういう先祖のおかげで私はソビエト時代からずっとロシアに興味がありました。ソ連時代が終わり、新生ロシアに自分も行って、様々なロシア人と接する中で、ロシア人がいかに日本を詳しく知っているか、古事記や神話も武士道も日本製品も大好きで、日本語ができる人も多いことに驚きました。ところが日本人は『怖い、領土をとった、シベリア抑留した』とソ連の延長でしかロシアを見ていません。私の体験から言うと、ロシアの人たちの気持ちはまっすぐで、言葉にズルさがありません。こういう人たちと仲良くすれば日本は良くなると思い、善隣協会をつくったわけです。日本に留学する、就職するロシア人たちのお世話をしたり、またロシアに行く日本人にいいロシア人を紹介する活動を続けています。だから日本とロシアとの関係が悪くなることは非常に私は心が痛む。逆によくない時代だからこそ、頑張って良くなるような努力をしたいのです。
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