毎日新聞は25日、日本政府が島しょ防衛のために開発中の地上発射型ミサイルに関し、長射程化に応じて第1段階は南西諸島に、第2段階は富士山周辺に、第3段階は北海道に配備する検討に入ったと報じた。北海道に配備するミサイルの射程は3000キロ程度で、国産ミサイルが完成した後の2030年代半ばまでの実現を目指すとしている。
ルキン准教授は次のように指摘している。
「もし日本がこうした計画を実行した場合、非常に否定的な反応を受けることになる。まず第一に中国から、次にロシアや北朝鮮がそうした反応をみせるとみられ、相応の対抗措置をとる可能性もある。そうなれば北東アジアに渦巻く軍拡競争にもう一つの戦線をつくることになる」
また、軍拡競争になると「安全保障のジレンマ」に陥り、地域の不安定化の要因にもつながるとルキン准教授は続ける。
「ある国が防衛力の強化、軍備増強に動くと、結果として周辺の別の国はそれを脅威とみなし、対抗措置を取るようになる。すると最悪の場合戦争に至るような状況が生まれる。こうした例は歴史上で幾度もあった。だから、これ(編注:日本のミサイル配備計画)は地域の安全保障に否定的な影響を与えるといえるのです」
安全保障のジレンマ
軍備増強や同盟締結など自国の安全を高めようと意図した国家の行動が、別の国家に類似の措置を促し、実際には双方とも衝突を欲していないにもかかわらず、結果的に衝突に繋がる緊張の増加を生み出してしまう状況を指す、軍事・国際政治学における用語。
また、防衛省は「反撃能力」について、長射程ミサイル「スタンド・オフ・ミサイル」を10年後までに1500基の規模で確保する方向で検討。国産の「12式地対艦誘導弾」が中心となるが、量産化まで当面は米製巡航ミサイル「トマホーク」を購入するという。
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