30年にわたるロシアによる西側との対等な対話への試みは終結
さらに総括では、これら出来事は同時に、30年間にわたり「集団的西側」と対等な対話を構築しようというロシアの真摯な試みに線を引くものであった、と記されている。
ロシア外務省は、西側は反ロシアという謳い文句で、地政学的主体としてのロシアを世界の舞台から排除し、ロシアに「戦略的敗北」を負わす意向であることを宣言するまでに落ちぶれた、と強調。
圧力にもかかわらず、ロシアは自身の外交政策を放棄することなく、世界の建設的議題を進めるべく努力を継続した。その成果の一部として、ナチス英雄化への対策に関する国連決議の圧倒的賛成多数による可決、生物兵器禁止条約(BWC、「細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発,生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約」)締約国による9月共同声明にウクライナ国内の生物研究所の機能に関して米国の生物兵器開発の懸念を盛り込んだことが挙げられる。
国際協力の推進
総括ではベラルーシ共和国との同盟関係が引き続き強化され、同国は特別軍事作戦の目的と課題を理解し、2月から3月にかけて行われた3回のロシア・ウクライナ交渉の場を提供した、と強調されている。ウクライナ側および近隣諸国のNATO軍による脅威を背景に、ベラルーシ共和国には合同地域軍隊の追加派遣隊が展開されている。
またCIS(独立国家共同体)の枠組みの中であらゆる活動分野における統合関係強化を目指した大規模案件も多数実施された。
ロシア外務省は、ASEAN(東南アジア諸国連合)、東アジア首脳会議(EAS)、APECにおいて多極的世界秩序の強化、アジア太平洋地域諸国間の実践的協力の構築、増大する当地域安定的発展への脅威への対抗について問題を提議することができた、としている。
国際紛争解決の努力
また総括では、ロシアはアフガニスタンの安定化に積極的に協力し、シリア問題で総合アプローチを推し進め、またアゼルバイジャンとアルメニアの総合的な関係正常化に協力してきたことが挙げられた。
問題悪化を回避すべく、ロシアはイラン核合意(JCPOA、「包括的共同行動計画」)参加者に対し国連安保理決議2231号の条件に戻る以外に選択肢がないことを受け入れるよう導いた。
ロシアの孤立化は失敗に
幅広い外国パートナーとの一貫したビジネス協力の進展を背景に、ロシアを「孤立」させようとする非友好国の無駄な試みが露呈した。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は他の国家首脳や国際機関トップと70回以上会談し、約300の外交イベントに参加、諸外国指導者らと220回以上にもおよぶ電話会談を行った。その中でも以下が挙げられる:
「サンクトペテルブルク国際経済フォーラム」「ロシアエネルギーウィーク」「カスピ海経済フォーラム」をはじめとする大規模な国際イベントが多数開催された。
OPECプラスの枠組みで建設的な協力が継続。10月5日の会合では日産200万バレルの原油減産が決定された。