ハーシュ氏は、ウクライナ紛争は米国の戦争であり、バイデン氏は支援を切望していたものの、(2022年の)秋の終わり頃の戦況は芳しくなく、双方ともに袋小路に立たされていたと見ている。
「私が唯一リンクし、考え、想定できること、また関係者らとも同じく共有されている見解は、(バイデン)大統領は、ショルツ独首相がこれ以上、武器や軍備に投資を望まないと知って驚愕したということだ。これがこそが原因だ。怒ったからなのか、罰なのかはわからないが、結果的に欧州西部の重要なエネルギー源は断たれた」とハーシュはチャイナデイリーからのインタビューにこう答えている。
ロシアは米国の欧州への影響力を阻害
ハーシュ氏は1960年代初めのケネディ政権の冷戦時代からすでに、ロシアが東欧にガスや石油を販売することが、EU諸国へ影響を及ぼそうとする米国を大きく阻害してきたと語る。
「ロシアには大量のガスが埋蔵されており、余剰も多く、ほぼ無尽蔵だ。ロシアのガスは安価で純度が高い。ここで、米国の憂慮を招く、事実がひとつある。冷戦の最中に、つまり現在のことだが(本質的には冷戦はまだ続いている)、ロシア産ガスが武器として使われないかということだ。まさにこれが、米国の対露外交政策の土台となっているのだ」
米国は2021年の段階で「ノルドストリーム」を爆破しかねなかった
ハーシュ氏は米国の「ノルドストリーム」爆破工作の構想は秘密でもなんでもなかったが、欧米のマスコミはある重要なフレーズを忘れていると指摘している。
「私は、(爆破)作業をした人には、2021年のクリスマスまでの段階でジェイク・サリバン大統領補佐官、国家安全保障問題担当から依頼があったと見ている。パイプラインを爆破することも構想の1つだった。大統領自身が2022年2月7日に公の場で、もしあの者たちが侵攻するならば(編集:ロシアがウクライナで特殊軍事作戦を開始するならば)、我々はパイプラインを爆破すると言っている。それを聞いた記者が『その方法をご存じなのですか?』とたずねると、バイデン氏は『方法は知っている』と答えている」
バイデン大統領の指示で
2022年9月26日、ロシアの欧州向けガス輸出パイプライン「ノルドストリーム 1」と「ノルドストリーム2」の2本で同時に爆発が発生した。これについてドイツ、デンマーク、スウェーデンは、標的を絞った妨害工作の可能性を否定せず、ロシアのプーチン大統領は、パイプラインの爆発は明らかにテロ行為であると述べた。
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