安全保障関連の3つの文書とは、外交・防衛の基本方針を示す「国家安全保障戦略」、防衛の目標と手段を示した「国家防衛戦略」、防衛費の総額や装備品の整備規模を定めた「防衛力整備計画」。
国家安全保障戦略には主に以下の事柄が記されている。
日本の主権と独立を維持し、領土を保全。国民の安全を確保する。
国際協調を旨とする積極的平和主義を維持する。
また、同文書の「日本を取り巻く安保環境と日本の安保上の課題」の項目では、中国・北朝鮮・ロシアが挙げられている。
日本が優先する戦略的なアプローチとは、日米韓や日米豪などの外交を中心とした取り組みを展開しつつ、日本の防衛体制を強化すること。
国家防衛戦略では、日本の防衛力強化について述べられている。
日本への侵攻を抑止するため、「スタンド・オフ防衛能力」と「統合防空ミサイル防衛能力」を強化する。
2027年度までにスタンド・オフ・ミサイルの運用可能な能力を強化する。日本産スタンド・オフ・ミサイルの増産体制を確立する前に十分な能力を確保するべく、外国製のスタンド・オフ・ミサイルを早期に取得する。
反撃能力とは武力の行使の3要件に基づき、必要最小限度の自衛の措置として相手の領域において有効な反撃を加えることを可能とする能力のこと。
日米の基本的な役割分担は今後も変更はない。しかし、日本が反撃能力を保有することに伴い、日米が協力して対処していく。
日米共同による宇宙・サイバー・電磁波を含む領域横断作戦を円滑に実施するための協力と相互運用性を高め、そういった取り組みを一層深化させていく。
自衛隊の統合運用の実効性を強化するため、陸海空自衛隊の一元的な指揮を行うことができる常設の統合司令部を創設する。
自衛隊で質の高い人材を必要数確保するため、募集能力の強化を図る。
防衛力整備計画では以下の事柄が述べられている。
日本は5年後までに、日本への侵攻が起きた場合に日本が主に責任を持って対処し阻止・排除できるように防衛力を強化する。
約10年後までには防衛力の目標をより確実にするため、「より早期かつ遠方で侵攻を阻止・排除できるように」防衛力を強化する。
スタンド・オフ・ミサイルの量産弾を取得し、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」などを着実に導入していく。
2027年度までに装備品の可動数を最大化し、需給予測の精度を向上させる。
島しょ部への輸送効率強化に取り組む他、弾薬の抗たん性確保の観点から島しょ部への分散配置を追求する。
陸上自衛隊の作戦基本部隊は、南西地域の防衛体制強化のため、第15旅団を師団に改編する。
防衛費は2023〜27年度の5年間で43兆円程度とする。