2022年の主要な出来事

スプートニクと振り返る 2022年の日本の5大ニュース

2022年もあと残りわずか。今年も様々な出来事、事件、話題が日本中を駆け巡り、あるときには社会を震撼させ、ときには人々を勇気づけた。ここでは2022年に特に世間の注目を集めた5大ニュースを振り返る。
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故・安倍晋三元首相

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献花台に花を供え祈りを捧げる男性

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事件当日、沈痛な面持ちで記者会見に臨む岸田文雄首相

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増上寺から出発する安倍元首相の棺を乗せた車を見送るため、沿道には多数の市民がつめかけた(7月の葬儀)

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国葬の会場に掲げられた安倍元首相の遺影(9月)

1. 安倍晋三元首相殺害事件

7月8日、安倍晋三元首相は奈良市の近鉄大和西大寺駅前で参議院選挙の応援演説中に凶弾に倒れた。日本の憲政史上、最長の在任期間を務めた安倍元首相の突然の死に、日本国内のみならず世界に衝撃が走った。
事件後、親交のあった世界各国のリーダーらが哀悼の意を表明。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領も、安倍元首相の家族宛ての手紙で「卓越した国家指導者の命が犯罪者の手によってもぎとられた。この素晴らしい人物についてのよい記憶は、彼を知るすべての人々の心の中に永遠に残るだろう」と綴り、27回にわたり会談を重ねた旧友の死を悼んだ。
事件で殺人容疑で送検され、現在鑑定留置中の元海上自衛官・山上徹也容疑者(42)は、自作の銃で犯行に及んだ。何度も下見をして襲撃の機会をうかがっており、計画的な犯行だったとみられる。動機については、宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」に母親が多額の献金を重ねたことで家庭が崩壊し、旧統一教会と安倍元首相がつながっていると考えていたことから一方的な恨みを持っていたとされる。また、後述のように旧統一教会と政治家のつながりや、霊感商法といった問題も事件をきっかけに明るみに出た。
一方、事件は要人警備の問題点や国葬をめぐる議論にも発展した。
事件発生直後から警備の不備については指摘されていた。8月には警視庁が「事件を阻止できた可能性が高い」とする報告書をまとめた。そこでは安倍氏の後方の警戒が不十分であったため、容疑者の接近を許したと述べられている。また、警察庁の中村格長官と奈良県警の鬼塚友章本部長は事件の責任を取る形で辞任した。
また、政治家としての評価が分かれる安倍元首相の国葬を巡ってはその法的根拠や意思決定のプロセス、実施費用などをめぐる大きな国民的議論が巻き起こった。一部の市民団体は国葬に反対する署名活動やデモを行うなどした。国葬は9月27日に実施。皇族以外の国葬は1967年の吉田茂元首相以来となった。700人を超える世界各国の要人も参列。一般献花台には安倍元首相との別れを惜しむ人々が列をつくった。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)

2. 旧統一協会をめぐる問題

安倍晋三元首相殺害事件では、事件の遠因となった旧統一教会と政治家の関係にもスポットがあたった。
自民党が9月に発表した調査結果では、所属する379人の国会議員中、179人が教会関連団体への祝電を送ったり、会合に出席するなどして関係があったことが明らかになった。岸信夫防衛相(当時)や萩生田光一経産相(同)ら一部閣僚も教会との関係を認めた。
岸田文雄首相は旧統一教会との関係を断つ方針を示し、霊感商法などによる多額の献金の被害者や家族の救済に全力で取り組むと表明した。
岸田政権は11月、宗教法人法に基づく「質問権」の規定を初適用し、教会の調査に乗り出した。まずは組織運営や収支などについて教会側からの報告を求め、実態の把握に努める。「著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」など特定の要件にあてはまれば、最も厳しい措置としては解散命令も視野に入る。
一方、国会では旧統一教会による被害者を救済するため、悪質な寄付を規制する被害者救済法案が12月、与野党の賛成で成立した。法人などが霊感商法などで不安を煽り寄付を求めるなど、個人を当惑させる不当な勧誘行為を禁止。マインドコントロールによる寄付の禁止をめぐっては、法人側に対して個人の自由な意思を抑圧しないよう「十分に配慮すること」を定めた。
円安

3. 記録的円安、1ドル=151円台、32年ぶり

世界経済における供給網の混乱やエネルギー価格の高騰、日本と諸外国の金利差の拡大などで、今年3月以降に急速な円安が進んだ。年初に1ドル=115円だった円相場は10月21日には一時151円台にまで下落し、32年ぶりの円安となった。政府・日銀が覆面為替介入を行うなどしたが、12月現在でも1ドル=130円以上の記録的円安水準が続く。
円安の影響は経済や生活にも色濃く現れた。昨年から続くガソリン高に拍車がかかり、レギュラーガソリン価格の全国平均は170円を突破。また、夏にかけ東京電力、関西電力など電力各社が電気料金の値上げに踏み切った。
原材料やエネルギー価格の高騰と円安が相まったことで、調達コストが上昇し、食品、日用品、外食、サービスなど経済全体に値上げラッシュが続いた。その結果、10月には日本の消費者物価指数が1982年2月以来の高水準となる3.6%に達し、家計を圧迫する状態が続いている。政府はガソリンへの補助金や低所得世帯への給付金などの物価高騰対策を行った。
一方、円安の恩恵を受けている企業もある。9月中間連結決算で大手商社は、伊藤忠商事を除く6社の最終利益が過去最高を更新。資源価格の高止まりと円安が業績を押し上げたことが原因だという。日本が誇るテレビゲーム業界も円安が利益を押し上げている。だが、今後は世界的な景気後退も懸念され、業績に悪影響が出る可能性もあり、安泰とはいえないようだ。
北海道知床沖で連絡が途絶えた観光船「KAZU 1」

4. 知床観光船沈没事故

4月23日、北海道知床半島の沖合で乗員乗客26人が乗った観光船「KAZU 1(カズ・ワン)」が沈没した。これまでに20人が遺体で発見され、6人が未だに行方不明となっている。「KAZU1」の船体は事故から約1ヶ月後、182メートルの海底から引き上げられた。
国の運輸安全委員会は12月、船の前方のハッチが開いた状態だったため海水が流入したとする報告書をまとめた。船首区画の隔壁を密閉していれば沈没を防げた可能性があると指摘している。
北海道放送など日本メディアによると、第1管区海上保安本部は、「KAZU1」運行会社の桂田精一社長を業務上過失致死容疑で2023年にも立件する方針で捜査を続けている。桂田社長は船の不具合を放置した上に、悪天候のなか運行を強行した疑いが指摘されている。
事故後の不明者の捜索は、海を挟んで隣接するロシアにも広がった。ウクライナ情勢をめぐり露日関係が冷え込んでいたなか、露外務省のマリア・ザハロワ報道官は「人道的観点から遭難した方々の救助にあたる」と捜索活動で日本に協力する姿勢を示した。実際に、南クリル諸島やサハリンで事故で亡くなった3人の遺体が発見され、露日当局の調整の末、9月には日本側への引き渡しが行われた。
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スピードスケート(女子1000メートル)で金メダルを獲得した高木美帆選手

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「自撮り」するフィギュアスケート団体の日本選手ら

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W杯日本対スペイン戦

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W杯での日本の快進撃は日本中を熱狂させた

5. 五輪メダル最多18個 W杯、強豪の独・西を撃破

悲しい事件、事故、政治や経済の混乱が相次いだ一方、明るいニュースもあった。2022年は日本のスポーツ選手の世界大会での活躍が日本中を大いに沸かせた。
2月に開かれた中国・北京冬季五輪で日本代表は史上最多となる18個のメダルを獲得した。スピードスケート(女子1000メートル)で高木美帆選手、スノーボード(男子ハーフパイプ)の平野歩夢選手、スキージャンプ(男子ノーマルヒル個人)の小林陵侑選手がそれぞれ金メダルを手にしたほか、銀メダル6個、銅メダル9個を得る大活躍だった。
フィギュアスケートでは男子シングルで鍵山優真選手が銀メダル、宇野昌磨選手が銅メダルを獲得。日本のエース・羽生結弦選手ショートプログラム8位発進となったが、フリースケーティングで巻き返し、合計4位と大健闘した。また、女子シングルで坂本花織選手が、団体戦でも日本チームは銅メダルを獲得している。
11~12月に開催されたサッカーワールドカップ(W杯)でもサムライジャパンの快進撃に日本中が熱狂した。
グループ戦では世界ランキング上位でいずれも優勝経験国のドイツスペインを下す番狂わせで内外を驚かせた。決勝トーナメント第1回戦では、前回大会準優勝のクロアチア相手に先制点。延長戦の末に迎えたPK戦で惜しくも敗れたものの、日本の実力を世界に見せつけた。
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