兵器輸出世界シェア・トップ10
順位 | 国名 | 18~22年のシェア(%) | 13~17年のシェア(%) |
1 | 米国 | 40 | 33 |
2 | ロシア | 16 | 22 |
3 | フランス | 11 | 7.1 |
4 | 中国 | 5.2 | 6.3 |
5 | ドイツ | 4.2 | 6.1 |
6 | イタリア | 3.8 | 2.5 |
7 | 英国 | 3.2 | 4.7 |
8 | スペイン | 2.6 | 2.5 |
9 | 韓国 | 2.4 | 1.3 |
10 | イスラエル | 2.3 | 2.6 |
米軍需産業の大きさはいか程か
トップとなった米国は、2018年~2022年の5年間の世界における武器輸出の40パーセント(%)を占めた。それ以前の5年間の33%から大きく伸ばしている。輸出先は日本を含む103カ国で、世界の半分以上の国が米国製兵器を購入している。
輸出先を地域別でみると、41%が中東、32%がアジア、23%が欧州となっている。全体に占める日本の割合は8.6%で、サウジアラビア(19%)に次ぐ2位と、米防衛産業の「お得意様」となっている。
米軍需企業のトップ5は、ロッキード・マーティン、レイセオン・テクノロジー、ボーイング、ジェネラル・ダイナミクス、ノースロップ・グラマンとなっている。各企業はウクライナ支援のため、歩兵携行式対ミサイル「ジャベリン」、多連装ロケット砲「ハイマース」、「マルス」などの増産に取り組んでいる。だが、ウクライナ軍は米国の製造能力をも上回る速さで兵器を消費しており、支援継続の成否は時間との戦いとなっている。
コスパの高いロシア兵器
ロシアは世界の武器輸出総額の16%を占め、2位となっている。 2018年から2022年にかけて47カ国に兵器を納入した。地域別ではアジア・オセアニア地域への輸出が65%を占め、中東への輸出は17%、アフリカは12%となっている。国別で見るとインドが31%、中国が23%、エジプトが9.3%となっている。
1992年以降、ロシアの主要な輸出兵器は戦闘機と戦闘ヘリコプターとなっている。2022年までの5年間では、戦闘航空機の輸出が全体の4割を占めた。そのなかには様々な改良を施した「第4++世代」の戦闘機「Su30」のほか、多目的戦闘機「MiG29」、輸送ヘリ「Mi-17V-5/Mi-171Sh」、輸送戦闘ヘリ「Mi-35M」、多目的ヘリ「Ka-226T」、重輸送ヘリ「Mi-26」などが含まれている。
また、西側諸国の軍事専門家らは、ロシアが費用対効果の高い兵器の主要な供給者だと指摘している。具体的にはアサルトライフル「AK(カラシニコフ)」シリーズや自走榴弾砲「ムスタ」「グヴォズジーカ」、自走式ロケット砲「ウラガン」「スメルチ」、歩兵戦闘車「BMP3」「BTR70」などが挙げられる。また、対空防衛システム「S300」「S400」に関しては右に出る者はない。
ロシアの巨大軍需企業には、戦闘機開発企業のスホイやツポレフを傘下に持つ「統一航空機製造会社」、潜水艦や駆逐艦製造を手掛ける「統一造船会社」、空中および海上発射型ミサイルを開発する「戦術ミサイル会社」、ジェット、ガスタービンエンジンを手掛ける「統一エンジン会社」、戦車製造会社「ウラルワゴンザボード」などが含まれる。全て国営か政府関連企業となっている。
フランスは輸出急増
フランスはロシアに迫る勢いで武器輸出を伸ばしており、2017年までの5年間の7%から、4ポイント伸ばして11%となっている。武器輸出の急増は主にダッソー・アビエーション製の戦闘機「ダッソー・ラファール」の納入によるものだ。
輸出先の55%はインド、カタール、エジプトの3カ国となっている。インドとエジプトはロシア製兵器の主要な購入者であることも特筆すべき点だ。そのほか、インドネシアへの戦闘機42機の納入や、ブラジルやマレーシアに対する潜水艦、フリゲート艦の供給など、世界の広い地域に様々な兵器を輸出している。
アジアで地盤を築く中国
中国は世界最大級の兵器購入者であると同時に、自らも製造して輸出を進めている。直近5年間の輸出は世界の5.2%を占めている。そのうち、半分以上の54%はパキスタン、12%はバングラデシュに供給されている。アジアが80%を占めており、地域での影響力を拡大している。
ミサイルや戦闘機「JF17」などのほか、近年では無人機(ドローン)の輸出も増やしている。中国は将来、低価格帯の武器市場を支配すると考えられている。
陸戦兵器のドイツ
自動車産業など重工業が盛んなドイツは、ラインメタル、クラウス・マッファイ・ウェグマン、MBDAドイツ、ティッセンクルップなど、世界的に有名な企業を有している。戦車や歩兵戦闘車などの陸上装備の輸出では国際的な地位を占めている。輸出先では中東が36%、アジア・オセアニアが32%、欧州が20%などとなっている。
ウクライナ紛争はドイツの防衛産業に大きな恩恵を与えたが、産業の空洞化や景気後退、将来のエネルギー供給をめぐる不確実性など、一定の制約にも直面している。